2010年9月15日(水)
昨日は日本顔学会のセミナー『文楽人形・舞台に生きる美』が日本女子大学でありました。
これまではずっと東京大学だったのですが、これまた文京地区にある素晴らしい場所でした。
講師は東京工芸大学名誉教授で写真家の池田陽子先生。
池田先生は、文楽(人形浄瑠璃)や舞など、微妙な表情と仕草の一瞬美を追い、長年撮り続けてこられました。
『文楽のかしら』(芳賀書店)などの本を出されています。
今回は主にこの文楽の“かしら”=頭=顔についてのメモとしてまとめます。
役による顔の特徴。
●三枚目の男
眉間がすごく離れていて(広いというよりも)垂れ眉。
下がり眉の眉尻は輪郭から飛び出している。
目が離れていて黒目の位置も外寄り。
鼻は付け根が極端に低くて鼻先は極端に丸い団子鼻。
横から見た時に凹型。
口が開いていて口角が下がっている。
丸顔で頬が垂れている。
●二枚目の男(A)
卵形の輪郭。(やや面長)
凛々しい上がり眉。
切れ長の目。
鼻筋が通っている。
口が小さい。
人中が短い。
顎が少し出ている。
●二枚目の男(B)
目は大きめ、上がり目。
人中が短い。
唇が薄い。
口角は下がっているが締まっている。
●三枚目の女
お多福顔。
下ぶくれ。三角(おむすび型)、台形、ひょうたん型の輪郭。
眉間が広く、極端な垂れ眉。
小さい垂れ目。
●大酒を飲んでも酔っぱらわない肝の据わった男
濃く極端に吊り上がった眉。
大きな目で三白眼。
肉付きのいい大きな顔。
腕など体つきもガッシリ。
●弁慶
眉間にシワを寄せ、眉尻が額につくくらい上がっている。
このように役によって異なる顔パーツ・配置で、人形の“かしら”=頭=顔が作られていました。
顔ではありませんが、
●いいところの娘さん=襟に飾りの鈴がついている。
という特徴もありました。
「人形遣いの顔が人形に合わせて目をつぶったりしない。それが上手い人形遣い。」とのことです。
一番最後に、人形だけがいるような写真が紹介されました。
これは、主遣いの人はもとより、足遣いの人の膝の作り方、左遣いの人の隠れ方、そして写真家の池田先生のバイオリズムが合ったからこそ撮れた奇跡的な写真だという解説がありました。
配られた資料に
文楽の主遣い、左遣い、足遣いの3人が、ぴったりと呼吸を合わせて、木と布の人形が、まるで人間以上に喜怒哀楽を表現する。
主遣い、左遣い、足遣いの三人が呼吸を合わせたときに、人形は人間になる。
とありましたが、その人形の写真はまさに息をひそめた人間のように生々しかったです。
今回は、一番前の席に座ることができたので、素晴らしい写真の数々を良く見ることが出来ました。
池田先生、関係者の皆さまありがとうございました。
私も将来、良い写真家、カメラマン、フォトグラファーに写真を撮ってもらいたいです。
さて、資料にはもう1つ興味深い記事がありました。
『名流』(東京新聞社)1990年10月号の記事。
【「原宿文楽」と「池袋文楽」ヤングの街の新しい名物に】より
一方、東京芸術劇場がオープンした池袋では、若手経営者や文化人を中心に「池袋に伝統芸能を育てる会」が結成され、第一回公演として十二月二十日と二十一日に、劇場中ホールで“池袋文楽”を開くことになった。
〜略〜
川部利一事務局員は「本格的な劇場ができたのを機会に、池袋の町を知ってもらうために会をつくりました。
とあります。
私も「池袋の町を知ってもらう」「池袋の町のイメージアップ」のために「池袋絵意知」という名前にしております。
「池袋絵意知」という名前には賛否両論ございますが、自分自身のイメージアップによって、必ずや池袋の町のイメージアップをしてみせます。
今後とも、池袋絵意知と池袋の町をよろしくお願い致します。