Face Reading ふくろう流観相学 池袋絵意知
HOME
今週の顔
顔とは何か
プロフィール
メディア情報
お問い合わせ
ふくろう日記
似顔絵募集
THANKS

ふくろう日記

公開シンポジウム「顔と文化」シリーズ(第3回)『心を映す顔』

2008年9月16日(火)

あっという間に今年の残すところ約100日。気づいてみれば今年は時間がとれず1度も「ふくろう日記」を更新できていませんでしたが、間もなく年に1回の「フォーラム顔学」がありますので、その前に4カ月前のシンポジウムを振り返ります。
5月14日に開催された、財団法人 花王芸術・科学財団主催、日本顔学会共催の、公開シンポジウム「顔と文化」シリーズ(第3回)『心を映す顔』に参加しました。
3回目となる今回はテレビでも人気の茂木健一郎先生の講演もあるということで、500名の会場に1800人の応募があるという高い競争率でしたが、運良く抽選で参加することが出来ました。
※赤字が私の言葉です。

基調講演『心を映す顔』
日本顔学会会長、東京大学情報学環・学際情報学府教授・同工学部電子情報工学科兼担 原島博先生

○なぜ、人は顔から心を知ろうとするのか?

・人は生き抜くために「相手の心」を読むことが必要
危険な相手を瞬時に見分けなければならない。
子孫を残すために、その気のある相手を見つけなければならない。

・人は衣服をつけた動物
顔以外は衣服に隠している。
顔だけが裸で、プラカードのように見せている。
→顔にすべての情報が集中している。

人は昔から、心を読むことに関心があった、
古代ギリシャ、古代ローマから人相学
16世紀 デラ・ポルタ(ナポリ)
17世紀 シャルル・ル・ブラン(フランス)
動物との類似性から性格を類推

※シャルル・ル・プラン
ライオンのような顔はライオンのような性格
ふくろうのような顔はふくろうのような性格

18-19世紀には、「科学」を装って骨相学、観相学が登場
18世紀:フランツ・ガル(1758-1828)器官学
脳は精神活動に対応する27個の器官の集まり
19世紀:パリに骨相学会が設立(1832)
顔面角
※この時代に「顔面角」と性格が語られていたのを初めて知りましたが、私も2005年に自著『顔面仕事術』でこれに近い考え方を示していました。

これからは結果的に差別(優生学)に結びついた。

いまの科学は、「個人の心を読む」ことはしない。
しかし、いまでも多くの人が信じている。
「顔をみれば、その人の心(性格)がわかる」と。
たとえば目と眉だけでその人の性格がわかる。

------------------------------------

目と眉を内側/外側に寄せると・・・・

内側=神経質そうな印象
外側=のんびりとした印象

さらに眉の傾きを変えると・・・・・

上がり眉にする=攻撃的になる
下がり眉にする=無防備になる

ヒゲも効果的である

口の周りに無精ひげを生やす=もっと攻撃的になる
鼻の下にちょびひげ(チャップリンのような)を生やす=もっと無防備になる

※眉と目の位置で性格が違ったように見えるのはどうしてか?
目と目の間を離して、困った困ったとは見えない。

------------------------------------

この印象は正しいのか?

性格と、眉や目の位置がなぜ関係があるのか?

悩むとき:眉や目を内側に寄せる
→そのような顔になる

もしかしたら「性格が顔にでる」のではなくて、
「顔が性格を作っている」のかもしれない。

※着ている服で性格が変わる。
外見はその人の気持ちを左右する。

顔が性格を作る?
鏡にのんびりしている顔が映っている
     ↓
きっと皆、僕はのんびりした性格だと思っているだろう。
     ↓
その期待に応えて、のんびりした性格のように振る舞ってみよう。
     ↓
もしかしたら、本当に自分はのんびりしているのかもしれない。
     ↓
のんびりとした性格になる。

結果として、顔と性格は関係を持つ。
→顔から性格を読むことができる。

もし、それが、70%あたっていたら人相学であれば拍手喝采。
しかし、科学はそれを許さない。社会は、科学の結論は100%であると信じている。

※顔は人間科学、社会の科学
専門家がキチンとやらなければならない。

------------------------------------

相手の顔を見ているとき、その見えている顔は、顔の持ち主(相手)の心を映すのではなく、顔を見ている「自分の心」を映しているのかもしれない。

顔は、客観的に存在するのではなく「見る人と見られる人の関係」の中にある。

たとえば指名手配の写真はなぜ悪いか?
悪い人と思って見るから悪い顔に見える。

顔はイメージ

顔は単独では存在しない
見る人と見られる人の関係が大切

顔にはイメージが重ね焼きされる

イメージが良ければよく見える
悪ければ悪く見える

結論
顔は、相手の心だけでなく、自分の心も映している。
顔は、見る人と見られる人の関係も映している。

もし、相手の顔が良く見えだしたら、それは「相手と自分の関係」が良くなっていることを意味する。

相手も自分の顔を良く見ている筈。
※相手を美人に見えだしたら、相手も自分を格好良く見てくれる。

いい顔、いい心とは、相手との共同作業で作られる。

顔はコミュニケーションである。

「いい顔」「いい心」「いいコミュニケーション」これらは三位一体である。

※自分の心が大事。
いい心を持っていれば、いいイメージ(顔)になる。

「いい心」が「いい顔」を作る。
「いい顔」が「いい心」を作る。
これは観相学の基本で、
「いいコミュニケーション」が「いい顔」を作る。
も顔学研究の初期から言われていたことです。
観相学の「顔を読む」ことは「いいコミュニケーション」のためであることは言うまでもありません。
「いい顔」「いい心」を作るために、今後の私自身の方向性として「いいコミュニケーション」についての研究を進めていきたいと思いました。
“「いい心」と「いい顔」で「いいコミュニケーション」”が、私の役割だと思っています。


講演1『顔を見る心 その発達』
中央大学文学部心理学研究室教授 山口真美先生

赤ちゃんの顔認識に関するお話でした。

第31回 日本顔学会イブニングセミナー『赤ちゃんの顔認識と脳の発達』とほぼ同じ内容でしたので割愛させていただきます。
「動いた顔の学習は止まった顔の3倍速い」という研究結果が印象に残りました。


講演2『顔は心の鏡である』
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー 茂木健一郎先生

茂木先生はテレビと同じく早口で、次から次に興味深いお話をされたので、印象に残ったセンテンスのみメモしました。

顔が心を理解する上で重要。
鏡の中の自分を自分と認識できる動物は限られている。

ミラーニューロンによって相手の心を読みとる。

人間だけが鏡を見る。
アイコンタクトするとドーパミンが出る。
女性は自分とアイコンタクトするのが好き(鏡を見る行為が気持ちいい)。

目が見えなくなった人は、人と会った時、過去に会った知ってる人の顔を無意識のうちに当てはめる。

顔認識は脳の右半球が優位。
前頭葉は表情筋をコントロールする。

自分の表情に引きつられて認識(自分の気持ち)を変える。
※口角を上げれば幸福の気持ちになるとか。
というのが、脳の回路として見えてきている。

女性は化粧している自分の顔を他人のように見ている。
自分と“目と目が合う”女性はナルシスティック。
毎日やっている化粧は、社会的な自己と関わる行為。

物質である脳に心が宿る。
法則ではない例外がある。
他人の心は不確実。
他人を読みとるのは、不確実なものに適応しようとする。

コンビニで並んでいるビールを人は2秒で選んでいる。
結婚相手も2秒で決断している。
※実際、会った瞬間に結婚すると感じるようなのはこれでは。

人間は鏡を手にすることで社会の中の自分のイメージを認識した。

“美”に正解があることではありません。
不確実性
→“美・魅力”というのは100%定まった普遍的な法則ではなく、絶対的な真理ではない。

原島先生のお話を長年聞いている中で常々思っていることですが、「顔」はとても哲学的です。
茂木先生が研究している「脳科学」の「クオリア」もとても哲学的で「顔」を考える上でヒントになることが多いと感じました。
さっそく茂木先生の著書をいくつか読み始めたところです。


『全体パネルトーク』
山口先生
赤ちゃんは最初に見た顔を覚える。育ての親の顔を。
たいがいは母親だけど、父親のケースもある。

原島先生
最近は他人が自分の顔をどう見ているか考えない。(自分にとって良いイメージをするようにしている。)
※私の知っている天才的な表現者(クリエイター)には、他人からの評価を全く無視して、自分のイメージを表現することに全力を傾ける人が多いのですが、自分の脳に良いイメージすればおのずと良い現象が起こるのでこの考えをすることは成功者の法則だと思います。柔道の谷亮子選手のイメージ力にも通じますね。

茂木先生
10代の方からの「ミラーニューロンとは?」という質問に対して。
科学的真理は100%ではない。ある程度言えるので定説と言えるが、わかりやすい説を決めるのではなく自分で考えるのが科学。

原島先生
「ひとめぼれとは?」という質問に対して。
論理的に考えるのではなく瞬時に判断する。
ひとめぼれは間違える時もある。
顔は見慣れることによって美しくなる。
最初の「うぉっ」と「ジワリ、ジワリ」効果がある。
美人(ビジン)ではなく美人(ビヒト)と読ませてはどうか?
3秒美人、3分美人、30年美人がある。

茂木先生
心の美しさが顔に出る。
「私はブスだから」とすねた顔は「ブスの顔」になる。

原島先生
人のオーラとは何だろう?
フェロモンとは何だろう?
平均顔にオーラを感じない。
平均顔は魅力的だけど一方で名前がない。
オーラは個人で、1人でも変わる。

茂木先生
「この人のあとをついていくといい事がある。」というような感覚はある。

原島先生
貧乏神がついている人っていうのはなんとなくある。
元気を与えてくれる人にはオーラがある。
自分がいい表情をしているかどうか?→相手の顔が鏡

※原島先生が言うオーラ(霊的なものではなく雰囲気のことだと思います)、茂木先生が言う感覚、これは何なのか?今のところ科学では解明されていませんが、「ある」のは皆さん実感していると思います。
私は科学者じゃないので「どうしてこういう感覚が起こるのか?」についての研究は専門家の人にお任せしますが、常にこの感覚を研ぎ澄ましていようと思っています。

山口先生
表情の積み重ねで人は似てくる。

原島先生
美容整形は精神科とタイアップしてカウンセリングし、少なくとも希望者のうち半分は返すようにしたほうがいい。と、美容整形の先生に申し上げた。
美容整形は「気になっているところがあるために外に踏み出せない人」のためにはプラス。
美容整形は「どんどん変える人」にはマイナス。



「顔はイメージ」と「顔から感じる感覚」について。

原島先生の「顔はイメージ」というお話の中に「指名手配の写真はなぜ悪いか?悪い人と思って見るから悪い顔に見える。」というのがありました。

雑誌に犯罪者の顔が載っていると、確かに悪い人に見えます。
「悪い人だとわかって見ているから悪い顔に見える」と言うのは確かです。否定しません。
しかし、我々人間は原島先生が常々おっしゃっている「貧乏神がついている人っていうのはなんとなくある。」というのも、根拠がわからないにも関わらず実感しています。
科学的根拠はないものの、人間の感性として「悪い人の顔はなんとなく悪い」というのは否定できません。

そのなんとなく感じている“悪い印象”は、なぜ“悪い印象”と感じるのか?
私自身は、その感覚を磨くことに主力を注いでいますが、「なぜ」という根拠についても日々考えています。
雑誌に載っている犯罪者の顔。
眺めていると「いい部分」が見えてきます。
眺めていると「とても強い部分」「とても弱い部分」と何か極端な箇所があるのを感じます。
「どこがどうなっているのか?」「色艶、形、バランス…」なんとなく感じ、なんとなくわかっていますが、発表することはできません。
原島先生の研究室が“差別に繋がるから犯罪者の平均顔は作らない”のと同じ理由です。
もしかしたら、この先も犯罪者の顔について語ることはないかもしれません。
とても大きな問題なので、なんとなくわかっているレベルで公表すべきではありませんし、生活者(人間)にとっては、理由・根拠を“考える”よりも“感じる”ことのほうが重要だからです。

私は「顔の色形から相手の性格・本質を読みとる観相学」を専門にしていますが、そのいっぽうで「顔はイメージ」であることを、一般の人以上に理解しています。
私は人に会う時に、みないい人だと思って接するので、みないいイメージを持ち、みないい人に思って生きてきました。
これは「観相学」を研究してからも同じで、先に悪い部分が目についても、いい部分を見つけ、いいイメージを持って接するように心がけてきました。
そうして体験してきた結果として、最初に感じた、最初に目についた悪い部分があとあと現象として強く表れることが多いのです。

初めから悪い人と先入観を持って見てはいけませんが、感じた時はその感じたことを大事に優先して、距離を置く、関わらないようにすることは大切です。
観相家だからと言って、私が会う人会う人の顔を事細かに観察しているわけではありません。
みなさんも、顔パーツが持つ意味よりも、顔から感じることを大切にして生活してください。



次の予定が入っていたため、シンポジウム終了後の懇談の時間では数人にご挨拶しただけで失礼させていただきましたが、似顔絵アーティストの小河原智子さんとペアルック状態だったので(メガネが黒で似た形。トップスが黒。ボトムスがシルバーグレーっぽいデニム)記念に写真を撮りました。

なんとも不思議な感覚でしたが「顔と感覚」についての第一人である小河原さんとシンクロしたということは、私の感覚もかなりのものなんでしょう。


バックナンバー
「今週の顔」2007年の総括
日本顔学会セミナー『顔画像の情報処理とその応用』
「フォーラム顔学2007」第12回日本顔学会大会
原島博先生講演「いい顔がいいまちをつくる」
「今週の顔」2006年12月の総括
公開シンポジウム「顔と文化」シリーズ(第2回)「表現される顔」
日本顔学会セミナー『赤ちゃんの顔認識と脳の発達』
「今週の顔」2006年の総括
公開シンポジウム「顔と文化」シリーズ(第1回)「進化し続ける顔」
「フォーラム顔学2006」第11回日本顔学会大会
「今週の顔」2005年12月の総括
日本顔学会セミナー『小河原智子の「ポジション式」似顔絵教室』
「今週の顔」2005年の総括
日本顔学会セミナー「顔を見つける・見分ける」
日本顔学会セミナー『顔の美術解剖学』
「今週の顔」2004年12月の総括
日本顔学会セミナー「笑顔のチカラ」〜笑顔が変われば人生が変わる〜
「今週の顔」2004年の総括
日本顔学会セミナー「アジアン・ビューティーというパラドックス」
「フォーラム顔学2004」第9回日本顔学会大会
日本顔学会セミナー「美男子が競い、明治が廻る!」
「今週の顔」2003年12月の総括他
第12回「顔と心と体」公開講座『外観といじめvol.2』
日本顔学会第13回公開シンポジウム
「笑い」と「セルフプロデュース」と「スペシャルパーツ」と
「今週の顔」2003年の総括
日本顔学会セミナー『人間が顔を認知するメカニズム』
「政治家の顔」「マイケル・ジャクソンの顔」
「フォーラム顔学2003」第8回日本顔学会大会
第10回「顔と心と体」公開講座『外観といじめ』
「今週の顔」2002年12月の総括他
日本顔学会セミナー『大顔展』ヴィジュアルとキャラクターの出来るまで
日本顔学会第12回公開シンポジウム
2003年の幸運顔を占う
「今週の顔」2002年の総括

日本顔学会セミナー『コンピュータは似顔絵描きになれるか』
2002年「秋のメディア活動」
「今週の顔」2001年12月の総括
日本顔学会セミナー『顔の魅力づくり』
クリエイター今井宏明さんのこと
嘉祥流観相学会導主、藤木相元先生にお会いしました。
日本顔学会第11回公開シンポジウム
2002年の『好かれ顔』
2002年の運がいい顔&「ザ!世界仰天ニュース」
「今週の顔」2001年の総括
日本顔学会セミナー『健康的にやせるには…』
「フォーラム顔学2001」第6回日本顔学会大会
「今週の顔」2000年12月の総括
「王様のお夜食」と「開運!なんでも鑑定団」
日本顔学会セミナー『顔表情のロボットによる表出と自動認識の追求と応用』
「リハビリメイク」と「OLヴィジュアル系」
日本顔学会セミナー〜顔と歯科〜

悪人相をレッサーパンダ男を元に検証する。
日本顔学会第10回公開シンポジウム
「今週の顔」2000年の総括
フェイシャルセラピストかづきれいこさんの講演他

日本顔学会第9回公開シンポジウム他


HOME | 今週の顔顔とは何かプロフィールメディア情報お問い合わせふくろう日記似顔絵募集THANKS
Copyright(C) IkebukuroH All rights reserved. Copyright(C) iDESiGN,Inc. All Rights Reserved.
このホームページの内容の一部または全部を無断で複製、転載することを禁じます。
ホームページに関するお問い合せは、こちらまでお願いします。webmaster@ikebukuroh.com